とりわけ都市の中で生活していると、安らぎ、憩い、そして自然を求めて、「庭」を見たり、設けたりする人が増えてきています。しかし、庭は、人工物の城を超えません。豊田市美術館(愛知県豊田市)では、さまざまな庭の姿を展示した[GARDENS]展を開催しています。展覧間初日には、東京大学の小林康夫さん、キュレーターのカトリーヌ・グルーさんを始め、出展作家を交えて記念シンポジウムが開かれました。小林さんは、「これまでの庭は、建物と自然との中間に存在していて、人工物に囲まれた環境から、『庭』を通して自然を感じたい、置いておきたいという願望がありました。しかし、自然と人間との適切な距離がなくなって、互いの存在を侵略するような関係になっているように感じる。
エルネスト・ネトの「生命の始まりのための小さなスープ」この要素は、その好例だといえます。女性の体をモチーフにした、やわらかな布で覆われたテント内には、不定形のやわらなかなクッションが散在している。「女性の体内に庭が造られている。自然が身体の中に侵入しているし、その身体の中に鑑賞者である人間も侵入するという仕掛けになっている。」と小林さんは述べています。作家の世界観が表されたさまざまな「庭」を観るのも楽しいが、そこから現代における自然と人間との距離を考えてみたい。